北京料理の特徴と歴史

北京料理とは中国の王朝が現在の北京に
首都を定めるようになった時代以後の
北京の中国貴族が食べてきた宮廷料理や、
北京市民が日常食べてきた家庭料理や
屋台の料理などの郷土料理のことを言う。

北京料理の歴史

今から750年前、元朝の時代から都として
栄えてきた歴史ある都市。
元の後、明、清と王朝が変わるたびに、
北京の都には各地から名菜が持ち込まれた。
それで北京料理は各地の料理の
「美味しい所どり」をしながら、
独自の発展をとげてきたのである。

北京には昔から山東出身の料理人が多かったため、
北方系の山東料理がベースになっているが、そこに中国全土から
集めた名物料理やイスラム料理の要素も加わった。
北京独自の料理というよりは、
宮廷料理人が腕を競い合って発展させてきた料理と言える。

清代(1636~1911年)には、
「満漢全席」とよばれる豪華な宴会料理が確立された。
これらの宮廷料理の流れを引き継いでいるのが、
現在の北京料理である。

北京料理の特徴

出発が宮廷料理なので、手が込んでいて繊細、
見栄えのする料理が多い。歯触りの良さや柔らかさ、新鮮さと香りに
重点が置かれているのも宮廷料理の流れを引き継いでいるためである。
北方では、麦や雑穀が主食だったため、
小麦粉を原料とする餃子や包子、麺類が発達した。
魚料理よりも肉料理が多く、羊肉を多く用いるのも特徴の1つと言える。
調理方法は揚げる、炒める、柔らかく煮る、
ロースト、あんかけなどバラエティに富んでいる。

代表的な北京料理

アヒルを丸ごと焼いて作る北京ダックは日本でも有名。
削いだアヒルの皮と葱やキュウリの千切りを甜麺醤(中華甘みそ)と
共にパオピンと呼ばれる小麦粉の皮にのせ巻いて食べる。
他にも蒸しパンの1種であるマントウや水餃子もおなじみ。
アヒルの卵を熟成させて作るピータンは
そのまま前菜として食べるだけではなく、
さまざまな中華料理で食材として使われている。

羊肉をよく使うのも北京料理の特徴で、
羊のしゃぶしゃぶは北京ではポピュラーな料理である。
糖醋鯉魚(タンツウリーユイ)は、
北京ではあまり多くない魚の料理。
鯉を丸ごと揚げて、甘酢あんをかけたものである。

北京ダックについて

炉の中でパリパリに焼いたアヒルの皮を削ぎ切りにして
小麦粉を焼いてつくった「薄餅」(ハオピン)とよばれる皮に
葱、きゅうり、甜麺醤と共に包んで食べる料理。
皮だけを薄く削ぐ店と、ある程度肉もつけて切る店がある。
北京市内の専門店では、「一匹」「半匹」といった単位で
北京ダックを注文し、併せて前菜、スープ、揚げ物などのアヒル料理を
メニューの中から選ぶ。

コース料理の場合は、残った肉の部位は肉料理に加工して食べる。
通常は皮、肉、骨の3点セットだが、水かきは茹でて辛子和えにし、
肝臓は素揚げにして供される。このように無駄なく
アヒルの様々な部位を使用した料理のフルコースを
「全鴨席」という。

日本ではまだ高級なイメージがする北京ダック。
中華料理のお店へ行ってもコースの中に
含まれているものを食べるくらい。
何年か前に訪れた北京で偶然入った北京ダックで有名なレストラン。
美味しそうな色に焼かれたまさに食べごろのアヒルが
たくさん吊るされていた。私と主人はまるで餃子を食べるような感覚で
北京ダックを味わった。もちろんお値段は驚くほどのリーズナブル。
中華料理は奥が深い。いつも味わうたびにそう感じる自分がいる。

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