北京ダックとは下処理した
アヒルを丸ごと炉で焼く料理。
北京料理の代表料理のひとつ。
炉(窯)の中でパリパリに焼いた
アヒルの皮を削ぎ切りにし、
小麦粉を焼いて作った
「薄餅」または「荷葉餅」とよばれる皮に
ネギ、キュウリや甜麺醤と
共に包んで食べる料理である。
皮だけを薄く削ぐ店と、
ある程度肉も付けて切る店がある。
北京市内の専門店では、
「一匹」「半匹」といった
単位で北京ダックを注文し、
併せて前菜、スープ、揚げ物などの
アヒル料理をメニューの中から選ぶ。
コース料理の場合は残った肉の部位は
肉料理に加工して食べる。
骨のがらは白濁した
「鴨湯」と呼ばれるスープを作るのに用い
アヒルの舌が鴨湯の具材にされることもある。
通常は皮、肉、骨の三点セットだが、
水かきは茹でて辛子和えにし、
肝臓は素揚げにして供される。
このように、無駄なくアヒルの
様々な部位を使用した料理のフルコースを
「全鴨席」という。
焼き方
アヒルを焼く前に
アヒルの皮と肉の間に
空気を入れて膨らませ、
熱湯にくぐらせてから焼く。
焼き方は「明火焼鴨」と
「掛炉鴨」の2種類に分けることができる。
「明火焼鴨」とはアヒルに
長い串をさして回しながら
炭火焼きをすること。時間は15分ぐらいほど焼く。
もうひとつの
「掛炉鴨(吊るし焼き)」は
今レストランでよく使われている方法で、
大型の専用グリルオーブンで
アヒルを吊り下げて焼く。
オーブン内の熱は上昇するので、
頸と胸あたりが一番焼ける。
アヒルのサイズが大きいと、
時間は25分ほどかかる
楽しみ方
1.皮
北京ダックで一番重要なのは皮だ。
焼き具合も大切だが、皮の厚さと大きさ、
またそれに付く肉の厚さの割合もその味に関ってくる。
いいレストランでは
テーブルに着く人の国籍によって、
その人たちが一番好む割合で皮を切ってくれる。
基本的に西洋人には
この料理はあまり好まれていない。
というのは皮は脂肪だ、
という考えがあるからだ。
それでも、せっかく香港に来たのだから、
中華料理の代表料理、
北京ダックを食べてみようと
注文する西洋の方もいらっしゃる。
そのため、西洋の方のテーブル用には
皮を削ぐ際、肉も多めに付けて削ぐことが多い。
それとは逆に日本人の方は
皮を好まれる人が多いそうで、
皮の割合を多めにしているのだそうだ。
中国人のテーブルには、
一番伝統的な割合で出される。
ナイフを斜めにしてスライスし、
20%が皮、80%が肉というバランスだ。
皮がパリッとしているほうが
好きな方は胸部分がおすすめ。
逆にお腹より下の部分は柔らかい。
そして、腿の部分が一番柔らかいとされている。
皮を削ぐには、もちろん技が要る。
慣れている料理人なら
1分で1羽の皮を削ぎ終わる。まさに早業だ。
食べ方:
① 削いだ皮を1、2枚くらい薄く焼いた小麦粉の皮に載せる。
②その上にネギをきゅうりの千切りを少し乗せる。
ネギときゅうりは甜麺醤(赤ミソ)を少し付けてから乗せる。
③巻くときは、まず一番下の端の5分の1を上のほうに折る。
それから左と右の両端で具を包む。
2.肉
皮を削いだ、北京ダックの
残った肉の部分を野菜などと炒める定番料理。
しいたけ、たけのこ、ザーサイ、セロリ、クルミなどの
食材を使って、アヒルの肉と一緒に炒める。
レタスに巻いて食べるか、
または叉子焼餅という焼き胡麻餅を
注文して挟んで食べてもおいしい。
焼き胡麻餅は小麦粉で作ったパンで、
表面に胡麻がついていて、
横に穴が開いているから、
その中に炒め物を入れて食べる。
3.骨
さらに残った身と骨をぶつ切りにし、
中国キャベツを一緒に煮込んだスープ。
美味しいが見た目はあまり美しくないので
宴会やパーティーなどには出されない。
4.油
吊るし焼きは鴨の油がたくさん下に溜まる。
昔はそれがとてもいいものとして
大事にとっておいた。それをタマゴ蒸しに使うのだ。
タマゴにアヒルの油、乾燥エビ、
たけのこの入れて混ぜ、最後に中華ハムを乗せて蒸す。
タマゴの味が濃厚になるように
黄身を多めに使っている。食感もどっしりしている。